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クルマの学校

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コーナリング

私たちが走る道路は、直線ばかりではありません。
カーブを通過したり、交差点を曲がったり、そしてまた直線の繰り返し。
今回は、何気なくやり過ごしがちな「曲がる」ことにちょっと注目してみましょう。

近道が最速とは限らない!「アウト・イン・アウト」の考え方

人は誰でも、むだな遠回りは避けたいものです。カーブにさしかかったとき、なんとなく内側を行くほうが、距離が短くて得をしたような気分になります。実際、歩行者なら、もっとも内側をずっと行くのがいちばん速いと思います。

ところが、重くてスピードのあるクルマの場合、同じようにはいきません。走りながら曲がろうとするとき、クルマには外側に飛び出そうとする「遠心力」が働きます。この遠心力がコーナリングフォース(タイヤのグリップ力で踏みとどまろうとする力)より強くなってしまうと、クルマは曲がり切れずに外側へ飛び出したり横転したりと、大きな事故につながります。

図1

きついカーブ(※R〔アール〕が小さい)ほど遠心力は増し、ゆるいカーブ(Rが大きい)ほど遠心力は小さくなります。体験的に、きついカーブよりゆるいカーブのほうが、スピードを落とさずに楽に曲がれることはご存知ですね。もしも「ずっと内側(in)→内側(in)→内側(in)」というラインで走れば、それだけRはきつくなります。逆に、道幅をたっぷり使って「外側(out)→内側(in)→外側(out)」というラインで走れば、それだけカーブはゆるくなり、スムーズに曲がれるようになります(図1、図2)。

※R〔アール〕
曲率半径。山道などで見かける「R=60」などの表示は、「このカーブは半径60mの円周と同じ曲がり具合です」という意味。数字が大きいほどカーブはゆるい。

図2

「スローイン・ファストアウト」の考え方

コーナリングではスローイン・ファストアウト(Slow in, Fast out)が基本中の基本。その言葉のとおり、コーナーに「入るときはゆっくり、出るときは速く」という意味です。コンマ1秒を競うモータースポーツの世界で、貴重なスピードをスローダウンさせるのには、それなりの理由があります。

コーナリング中(ハンドルを切っている間)のクルマは、遠心力が働き、荷重が移動して4つのタイヤのグリップ力はそれぞれ変化し、挙動が不安定になります。スピードが出ているほどその影響が強いので、曲がる(クルマの向きを変える)動作の前に十分に減速しておきたいわけです。

クルマは、ブレーキング中よりアクセルを一定に踏んでいる状態のほうが安定します。ブレーキを踏みながら曲がると、クルマが不安定になることは、普段交差点を曲がるときに実感しますよね? また、減速が不十分なまま交差点に突っ込んでしまい、ハンドル操作が追いつかなくてヒヤリ、という経験はありませんか? ハンドルを切る前の直線のうちにしっかりスローダウンしておけば、カーブに入ってからアクセルを一定にすることで「曲がる」動作が安定し、早めにハンドルを戻して次の加速動作に移れます。「スローイン・ファストアウト」は、「ファストアウトのために、スローインが重要なのだ!」と覚えておいてください。

トータルで速く走るためのCP(クリッピングポイント)はどこ?

図1は「アウト・イン・アウト」をわかりやすくするために単純化したもので、実際のライン取りは「スローイン・ファストアウト」と密接にかかわってきます。とてもゆるいカーブなら図1のA車の走行ラインでも構いませんが、ぐっと減速して通過するカーブでは、「直線のアウトでしっかり減速→低速でハンドルを切り、インにつける→ハンドルを戻しながら加速、アウトに出る」のが理想。そうなると、走行ラインは図3のC車が最適となります。カーブの後半でRが大きくなり、加速しやすくなります。

図3

実は、クルマはその特性上、減速より加速のほうがちょっぴり苦手です。100km/hから急減速して静止する(0km/hになる)までに要する距離は、ほとんどのクルマで50mを切っています。逆に、静止(0km/h)から急加速で100km/hに到達するには、その何倍もの距離を要します(※)。つまり、トータルで速く走るためには、短時間で減速し、少しでも多くの時間、距離、パワーを加速のために使うことが重要なのです。

※ランサーエボリューションIXで、静止~100km/hの加速性能を試してみました。目測ですが、約80m~90mの距離で100km/hに達しました。あらゆるモータースポーツで活躍するランサーエボリューションでも、制動距離の倍以上の距離を要するのです。なお、100km/hから静止するまでの制動距離は約40m
【ラリーアート調べ】

「早くインにつけたい!」とあせり気味でカーブに入ってきた図3のD車。カーブの前半はC車より先行しますが、曲がりながら、ハンドルを切りながら、ブレーキを踏みながら、遠心力(横G)を受けながら…という不安定なコーナリングで、加速態勢に入るのが遅れがち。後半のRも小さく(さらに減速する必要があり)、加速に使える距離もC車より短くなります。これでは「トータルで速く走る」のに不向きです。

カーブの頂点はAP(エイペックス)、そして、実際のコーナリングでもっともインにつける点をCP(クリッピングポイント)と言います。「アウト・イン・アウト」のイン、すなわちCPをどこに取るのか、C車のようにAPより先(向こう側)の地点にCPを取るライン取りを心がけてみてください。

この走行ラインは、日常の走行でも事故防止に役立ちます。
見通しの悪いカーブで、D車のようにAPより手前でインにつけてしまうと、先の見通しが利きません。C車のライン取りなら、カーブに入る時点で先の視界が開けます。カーブを抜けたところに障害物があった場合、余裕を持って避けることができます。
ただし、くれぐれも車線からはみ出さないようご注意を。交差点で対向車線にまでふくらんで曲がるのは、重大な危険行為です。

4輪の摩擦円

さて、前回のグリップ力と摩擦円の話を、今回のコーナリングと合わせて考えてみましょう。タイヤのグリップ力は、加速、減速、コーナリングにともなって4つのタイヤそれぞれに変化が生じます。

●減速=前輪の円が大きくなる(後輪の円は小さく)
●加速=後輪の円が大きくなる(前輪の円は小さく)

図4

変化が小さく、4つの円の大きさが均等であるほど、乗り心地の良い安定した走行となりますが、モータースポーツでは、摩擦円の変化を積極的に利用します。例えば、減速すれば前輪のグリップ力が増加(=前輪の摩擦円が大きくなる)し、クルマは曲がりやすくなります(クルマの方向を変えるのは前輪なので、前輪のグリップ力が大きいほど「曲がる」能力も増す)。

コーナリングの基本は、先に解説した(1)直線で減速(2)ハンドルを切り始める/アクセル一定(3)ハンドルを戻し始める/アクセルを踏み始める(図3)ですが、(2)の部分までブレーキを踏みながら(減速のためではなく、曲げるためのブレーキ)ハンドルを切り込んでいくと、より小さく曲がってくれるので、モータースポーツではこの方法を使うことがあります。

「サイドターン(サイドブレーキ ターンの略)」をご存知ですか? サイドブレーキ(後輪のみにブレーキがかかる)を効かせ、後輪を滑らせ、スピン状態をつくってクルマの持つ最小回転半径よりさらに小さく曲がる方法です。
サイドターンを4つの摩擦円で説明(FFの場合)すると、(1)ブレーキを踏みながらハンドルを切り込み(前輪の摩擦円が大きい⇒よく曲がる)、この状態で(2)サイドブレーキを引く(後輪の摩擦円は小さい⇒簡単にタイヤがロックし、横方向のグリップ力の限界を超えて後輪が外に滑る)、そしてクルマはスピン状態に…といった具合に、4つの摩擦円の変化を利用してクルマを操っています。

※これらはモータースポーツで使われる競技用のテクニックです。 大変危険なため、公道では絶対に行わないでください。

4つの円を均等にするのが安全

モータースポーツの世界は、より速く走るために4つの円を積極的に変化させたりしますが、一般の道では、円を変化させない運転が安全につながります。
教習所では、“カーブでブレーキを踏むと減点!”でしたよね。これも摩擦円で考えると「サイドターン」と同じで、カーブでブレーキを踏むと前輪の円が大きくなり前輪は曲がりやすくなりますが、逆に後輪の円は小さくなり横方向のグリップ力も当然小さくなって、後輪が外側に滑りやすくなります。そして、後輪のグリップ力の限界を超えて摩擦円の外(スリップゾーン)に出てしまうと、スピン状態に陥る…。だから“減点”なのです。

4つの摩擦円をイメージしながら、円が急激に変化するような操作(急のつく操作)をしない運転を心がけましょう。特に滑りやすい路面(雨や雪道など)では慎重に!

 
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